ビットコイン(BTC 65,008.85ドル)が価値の保存手段として優れているか、決済手段としての適性があるかは議論が続いている。しかし、最も注目すべきは、その根幹を成す徹底した自由市場かつパーミッションレスな設計である。BIP-110にまつわる一連の出来事は、この設計思想の本質を鮮明に示している。
Bitcoin Improvement Proposal(BIP)-110は、非金融データ、特にOrdinalsの刻印のようなスパム的要素を制限し、ブロックチェーンの容量を確保することを目的とした提案であった。この提案は開発者コミュニティにおけるオープンな議論の場にて検討されたものの、広範な支持は得られず、分散型コンセンサスによって事実上拒否された。ここで重要なのは分散型コンセンサスに基づく拒否であり、規制当局や中央委員会の介入によるものではない点である。
しかし、自由市場の物語はそれで終わらなかった。提案の支持者たちは自らの権利を行使し、オリジナルのビットコインからフォークを作成し、独自のブロックチェーンを構築した。彼らはブロック番号961,632から新チェーン上に自分たちの望むルールを導入しようと試みたが、これは規制や中間者による強制ではなく完全に任意の行動であった。
結果として、採掘者はより収益性の高いオリジナルのビットコインネットワークを直ちに選択した。大幅な採掘難易度を引き継いだ新チェーンはわずかなハッシュパワーしか得られず、2つのブロックを生成した後に活動を停止した。一方で、オリジナルのビットコインネットワークは継続的に稼働し、ほぼ全ての活動、流動性、安全性を維持し続けた。
ビットコイン保有企業Strategy(MSTR)の創業者マイケル・セイラーはXにて、「ビットコインは設計通りに正確に機能した」と述べている。
この事例を世界の自由市場経済と比較すると、企業の収益悪化時にはコスト削減やレイオフが通常の反応であるべきだが、選挙政治の影響で政府による調整阻止が起こり、産業の長期的な低迷を招くことが多い。また、高インフレが発生すると政府が需要を人工的に支える補助金を支給し、インフレをさらに加速させる傾向にある。消費減少や価格調整などの自由市場の通常のメカニズムが機能する余地が極めて限定的である。
ビットコインが示した教訓は明確であり、「自由市場は放置すれば機能する」という事実である。
なお、ビットコインのスポット価格はおおむね65,000ドル前後で推移しており、下値リスク回避の需要も続いている。今週発表予定の米国のインフレ指標が市場動向に影響を与えると見込まれている。
