テザー、アジアでの違法行為にUSDTが関与しているという国連報告書に反論

世界最大のステーブルコインUSDTを発行するテザー社(Tether)は、東アジアと東南アジアの地下銀行とマネーロンダリング・インフラにおけるUSDTの役割に関する国際連合(UN)の報告書に異議を唱えた。

テザー社は、報告書が同社のステーブルコインを特別視し、新興市場の発展途上の経済を支援する上で同社が果たした役割や、法執行機関との協力実績を無視したことに「失望した」と述べた。

国連薬物犯罪事務所(UNODC)の報告書は「この地域のオンライン・ギャンブル・プラットフォーム、特に違法に運営されているプラットフォームは、暗号資産(仮想通貨)ベースのマネーロンダリングをする者、特にトロン(TRON)・ブロックチェーン上のテザー(USDT)を使用する者にとって、最も人気のある手段の一つとして浮上している」と述べている。

テザー社は国連に協力的な対話を求め、「アメリカ司法省、FBI、シークレットサービス(USSS)を含む世界の法執行機関との協力」をアピールした。同社のブログによると、USSSも最近テザー社のプラットフォームに加わったという。同社はまた、ここ数カ月で3億ドル(約435億円、1ドル=145円換算)以上を凍結するなどの、当局との協力関係を強調している。

国連の報告書は、テザー社が2023年11月に東南アジアを拠点とする人身売買と豚の屠殺に関連した2億2500万ドル(約326億円)分のUSDTを自主的に凍結したことに触れているが、同時に同地域の当局が組織犯罪グループが使用する最も人気のある暗号資産にUSDTが含まれていると報告していると述べている。

USDTは2023年12月に約900億ドル(約13兆円)という史上最高の供給量まで上昇したが、S&Pグローバル・レーティングによって、その中核的な役割である1ドル分の価値という点ではライバルよりも劣っていると批評された。USDTは米ドルにペッグされているが、その状態を維持できるのか、あるいはその準備金は安全で実際のドルなのか、などが論争の的になっている。

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