- ビットコインのハッシュレートとマイニング難易度は、北米の夏の間、マイナー(マイニング事業者)が一部業務を縮小することで低下する可能性がある。
- ビットコインのマイニング報酬が50%減少した半減期により、すでに利益の圧迫に直面しているマイナーにとって、競争の緩和は多少の猶予になるかもしれない。
夏の猛暑で一部のマイニング事業が縮小を余儀なくされるなか、ビットコイン(BTC)のハッシュレート(ネットワークの計算能力)の絶え間ない上昇がついに減速し、マイナー(マイニング事業者)に一息つく余裕を与えるかもしれない。
ハッシュレートが史上最高を更新し続ける一方で、マイニング報酬が半減したことで、すでに過密状態のセクターではマイナーの利益率が圧迫されている。
ハッシュレートが上昇している主な理由としては、以前に購入されたマイニング機器が稼働しつつあり、マイナーたちは半減期後も採算を維持するために、より効率的な機器で装備をアップグレードしようと躍起になっていることがあげられる。例えば、ルクソール・ハッシュレート・インデックス(Luxor Hashrate Index)のデータによると、ハッシュレートは5月25日、658エクサハッシュ/秒(EH/秒)という記録的な高さまで上昇した。
しかし、北米が熱波に見舞われる夏を迎えるにあたり、この絶え間ない上昇は今後数カ月は減速する見通しだ。マイナーは非常に強力なマシンを使用しており、計算のために大量の熱を発する。
「ビットコインマイナーにとっての運用上の最大の課題は、熱の緩和だ」と、ブロックウェア・インテリジェンス(Blockware Intelligence)のアナリストは指摘。「ASICは大型で強力なコンピューターであり、適切な冷却対策を講じないと非常に高い温度に達する可能性がある」と続けた。
夏特有の課題
冷却対策は、夏場にはさらに大きな問題となる。マイナーはマシンを冷却するためにより多くの電力を必要とするが、多くの人たちのエアコン使用による高い需要が優先されるため、操業を停止しなければならない場合もあるからだ。
「多くのマイナーは、オーバーヒートのためだけでなく、電力購入契約における需要応答条項が有効になるほど家庭のエネルギー消費が高いレベルに達するため、(夏の間)操業を停止しなければらない」とブロックウェアは付け加えた。
この季節的な現象により、過去2年、夏にはハッシュレートが低下した。ハッシュレートの低下はビットコインブロックのマイニング難易度の低下を意味する。
ルクソール・ハッシュレート・インデックスのコンテンツ・リサーチ責任者、コリン・ハーパー(Colin Harper)氏の6月17日のレポートによると、「米国では夏を迎えるにあたり、2022年と2023年に見られたように暑い気候がマイナーの活動を抑制させ、その結果ハッシュレートの伸びが抑制されるかどうかを見極めたいと考えている」
実際、ハッシュレートは3月に史上最高を記録して以降、すでに下がり始めている。ハッシュレート・インデックスのデータによると、6月17日現在、ハッシュレートは10%低い589EH/sとなっている。
ほとんどのマイナーは米国、特に蒸し暑いテキサスにあるため、北米のマイナーが操業を停止すれば、ハッシュレートの上昇に歯止めがかかる可能性が高い。
「ケンブリッジ大学のデータによると、全ビットコインマイニングのおよそ37%が米国で行われている。夏が暑くなり続けるなか、米国に拠点を置くマイナーが暑さによる稼働制限に見舞われると予想するのは妥当だ」と、ブロックウェアは指摘している。
ハッシュレートと難易度の低下は、夏に向けて競争が激化するなか、一部のマイナーにとってプラスに働く可能性がある。さらに、ライオット・プラットフォームズ(Riot Platforms)のような一部のマイナーは、電力購入契約の一環として操業を抑制することで、電力会社から臨時収入を得ることができるだろう。
「もしハッシュレートが下がり続ければ、マイナーは今週、(難易度の)マイナス調整に恵まれるかもしれない。それに期待しよう!」と、ルクソールのハーパー氏は語った。
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