- オーストラリアの規制当局は、現在中止されているブロックチェーン・プロジェクトについて誤解を招く発言をしたとして、国内最大の取引所であるASXを提訴した。
- ASXの発言は「欺瞞的」であり、「これはASXの取締役会と上級幹部による集団的失敗だった」とASICは述べている。
オーストラリア証券投資委員会(ASIC)は、同国最大の市場運営会社であるオーストラリア証券取引所(ASX)に対し、老朽化した清算機関電子登録システム(CHESS:Clearing House Electronic Subregister System)に代わるブロックチェーン・プロジェクトの進捗状況について誤解を招くような発言を行ったとして提訴した。
ASXは2022年11月、アクセンチュア(Accenture)がその設計に「重大な課題」があると指摘したため、取引決済用のブロックチェーンシステムの開発計画を中止した。数回の遅延の後のこの決定により、約2億5000万豪ドル(約245億円、1豪ドル=98円換算)の評価損が計上された。数年にわたるテストの後、ASXは2017年、2020年第1四半期までにコアサービスの1つをブロックチェーンベースのシステムに移行すると発表していた。
ASICは8月13日に提訴し、どのようなペナルティを求めるかはまだ決定していないが、地元紙のオーストラリアン・フィナンシャル・レビュー(AFR)は、ASXは最大で5億豪ドル(約490億円)以上のペナルティに直面すると報じている。
「我々はこの訴訟の重要性と深刻さを認識している。我々はASICの調査に全面的に協力し、現在、疑惑を慎重に検証している」とASXのヘレン・ロフトハウス(Helen Lofthouse)CEOは声明で述べた。
ASXのダミアン・ロシュ(Damian Roche)会長の辞任を求める声も出ている。
ASICは、「ASXが2022年2月10日に発表した、プロジェクトは2023年4月の操業開始に向けて『順調に進んでいる』という表現は誤解を招くものだった」と主張した。
発表当時、プロジェクトは計画通りに進んでいなかったため、これらの表現は「欺瞞的」であったという。
「ASXの声明は、市場の信頼性の根幹に関わるものだ。我々は、これはASXの取締役会と当時の上級幹部による集団的な失敗であったと考えている」とASICのジョー・ロンゴ(Joe Longo)委員長は述べた。
ロンゴ委員長は、「プロジェクトの重要性は、ASXがオーストラリア国民に対し、プロジェクトの進捗状況や予定通りに完了するかどうかについての真実を確実に伝える必要があったことの非常に大きな理由だ」と述べた。
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