2026年初頭、暗号資産業界で相次いで発表された大規模な人員削減は、「マクロ環境の逆風」と「AI変革」という二つの説明の間にある乖離を浮き彫りにしている。
Algorand Foundationは水曜日、暗号資産企業の削減ラッシュに加わり、従業員数200人未満の組織内で25%の削減を決定した。公式には「不透明な世界的マクロ環境」と暗号資産市場全般の低迷を理由に挙げている。
この動きは業界全体に広がるリストラの流れの一環だ。2月にはGemini Space Station(GEMI)が約200人、従業員の約4分の1の削減を発表し、その後3月中旬までに削減比率を30%に拡大した。木曜日にはCrypto.comも12%、約180人の人員削減を表明している。
さらに今月初旬には、レイヤー2ブロックチェーンのOptimismを開発するOP Labsが20人の削減を実施し、Story Protocolの開発チームであるPIP Labsも正社員5人と契約社員3人、全体の10%を解雇した。暗号資産データ企業Messariも「AIファースト企業」としての方針転換とCEO交代に伴い、2023年以来3回目の人員削減を発表しているが、具体的な人数は明らかにしていない。
企業ごとの公式説明は異なっている。Algorandはマクロ環境の悪化とトークン価格の低迷を理由とした一方、多くの企業はAI活用強化への転換として今回の人員削減を位置づけている。
Geminiは株主向け書簡にて、「AIはGeminiにおいて使わないという選択肢がほぼ存在しないほど強力だ」と述べ、
「GeminiでAIを使わないことは、あとまもなくノートPCを使わずタイプライターを持って出社するのと同じ意味になるだろう」と表明した。
Crypto.comの広報担当者も木曜日にCoinDeskの取材に応じ、「当社は全社をあげてAI統合を進めている企業であり、効率化によって必要な人員数は減少する」と述べた。CEOのKris Marszalek氏もX上で、業務プロセスにAIを取り入れない企業は失敗すると発言している。
しかし、Algorandの削減対象は報道によればコミュニティマネジメントや事業開発部門であり、明確にAIで代替しうる職種とは言えない。公正を期すために同社は主因として暗号資産市場全体の悪化を挙げている。ALGOトークンは最近0.09ドル付近で推移しており、2019年のピークから98%も下落している。時価総額最大の暗号資産であるビットコイン(BTC)も今四半期に約20%下落した。
業界再編の兆候
業界関係者の間では広範囲に及ぶ再編の動きが指摘されている。かつて人材需要が旺盛だったリステーキング、DePIN、レイヤー2といった領域は急速に縮小している。またM&Aの増加により重複する人員が生じている面もある。いわゆる「アクハイア(acqui-hire)」による企業買収が人材確保を目的とする一方で、既存社員のポジションが失われる場合もある。
暗号資産専門の人材紹介会社Up Top創業者のDan Escow氏は、「今回のレイオフが大規模なAIによる労働力代替と直接関係している証拠は見られない」と述べている。
「リステーキング、DePIN、L2の分野はかつて人材需要が非常に強かったが、現在はほぼ消滅している。企業は戦略を見極める時間を確保する目的でコスト削減を余儀なくされている」と語った。
採用市場全体の動向もこれを裏付けている。主要な暗号資産求人サイトの新規求人掲載数は1月時点で、1日あたり平均約6.5件にとどまり、前年同期比で約80%減少していた。
本記事で言及された企業だけでも、人数非公表のMessariを除けば数週間で約450人の削減が明らかになっている。これは氷山の一角に過ぎない可能性が高い。2022年の暗号資産冬の時期には、CoinDeskが年間で26,000人超の雇用喪失を追跡しており、全貌の把握までには数か月を要している。
